高速トラック

世界陸上2007大阪の檜舞台となった「トップエースCL」のトラックを多くのマスコミが ”高速トラック” と呼び、世界のトップアスリートが長居競技場で多くの自己新記録を出したことで、トップエースの真価が証明されました。
私たちは高速トラックを ”自分でも思いがけないほど早く走れるトラック” と捉えており、それを生み出すメカニズムを次のように考えています。選手の足が着地した時、舗装面から極めて短い時間で2種類の反力を受けます。右図でヨコ軸は時間、タテ軸は選手の足が受ける力を表します。 図の曲線①は足が着地した瞬間に受けるの最初の衝撃力を表しますが、この衝撃は人体への影響が大きく有害と考えられています。続いて生じる緩やかな図の曲線②は体が加速されるための反作用として現れる地面反力です。すなわち、走行時に選手が受ける力には、足への負担要因となる成分と、走行に寄与する成分とがあり、舗装材はこの2つの力を最適化し、③のような曲線をイメージすることが理想です。
WA(ワールドアスレチックス)はこの点に着目して、選手に極度の衝撃を与えないことを目的に基準値を定めていますが、それに適合するだけでは “高速トラック” にはならないところに舗装材開発の難しさがあります。いわゆる “高速トラック” は、WA規格範囲内に収めながら、強い衝撃力①を減らしつつ、選手の推進力に資する力②を最大にして生じる最適な反発力③が必要となります。この最適形を求めた長きにわたる研究開発の結果、高速トラック “トップエースCL” は誕生し現在も進化を続けています。

反発力と経過時間

第4世代ウレタン舗装

当社の歴史は舗装材開発の歴史であり、1928年の創業から1968年にメキシコ五輪でポリウレタン舗装材が脚光を浴びるまでの40年間は創業者奥庚子彦とともに歩んだ「アンツーカ」の開発史であり、そして1974年、国産初のポリウレタン舗装「トップエース」を開発し現在までに至る、50年余年に分けられます。トップエースの開発の歴史とはその陸上競技場トラック走路における舗装厚13mmの内、約9mmを占める弾性層ウレタンの開発史と言っても過言ではありません。そのようなトップエースの弾性層ウレタンですが、これまで革新的な進化を繰り返し、現在は第4世代を歩んでいます。1974年当初の第1世代トップエースは100%ポリウレタンで非常に硬く、アスリートの身体に負担が大きいものでした。1982年、発泡弾性骨材を弾性層に添加することに成功し、第2世代「トップエースCL」が誕生しました。1987年には弾性層に空隙を持つ柔らかいゴムチップに置き換えたゴムチップ複合弾性舗装「トップエースCB」が派生しています。1999年、弾性層に空気を連衡することに成功し、発泡弾性骨材と組み合わせた弾性層が可能になりました。(第3世代)そして、2013年、それまで弾性層に含まれる気泡の大きさが不揃いとなっており舗装材の均一性が完全でないという欠点がありましたが、そこを克服した第4世代のトップエースCLの開発に成功しました。当社の弾性層は均一で長期にわたり性能を維持できます。様々な点で第3世代と一線を画すものに生まれ変わっており、現在では当社の標準仕様となっています。

トップエースCL

人にやさしいポリウレタン材

一般的にポリウレタン舗装材には特定化学物質が含まれています。
特定化学物質とは化学安全を目的とし、労働者に健康障害を発生させる(可能性が高い)物質として、労働安全衛生法施行令で指定された化学物質のことを指します。
これらは、硬化前のウレタン材料に含まれるもので、反応後(ウレタン硬化後)は無害化して問題なくなります。即ち、引き渡し時には特定化学物質は存在せず、競技者には影響ないのですが、ウレタン施工時において、特定化学物質が存在しているため、労働安全衛生上の観点で特定化学物質予防規則に準拠した施工管理が求められています。
当社では研究を重ね、そもそも特定化学物質を含まないポリウレタン材料を完成し、トップエースシリーズに標準スペックすることで、労働者が安心して働ける環境を整備しました。さらにワールドアスレティクス認証も再取得することで、安全と性能を両立しトップエースはさらなる進化を遂げています。

トップエースCLの断面

埋込ライン

陸上競技場は1/1000秒を競う競技であり、トラックに引かれる様々なラインやマーキングはJAAFによる5年ごとの検定によりその精度が担保されています。但し、次の検定までの5年間は消えたり、かすれたりせずしっかり残っていることが必須になります。それでも陸上競技はスパイクをはいて行うスポーツであり、踏切部分など使用頻度の激しい部分から摩耗を余儀なくされます。公認期間途中でラインを描き直すと、その部分のみ再度検定を受けなければならないとJAAFで定められてます。当社では摩耗が激しいと予想されるラインやマーキングに対し、施設の長寿命化の観点からも標準的な吹付け工法ではなく、「ホワイトウレタン埋込工法」をご提案しています。
最上層のエンボス層をライン・マーキングの色に合せることで摩耗してもラインが消えたり、かすれたりしないのがこの工法です。(ローラーエンボスのみでのオプション仕様です。フィニッシュライン、槍投げスターティングライン、内側走路のレーンライン、各種スタートライン等、摩耗の激しい部分にご提案しています。)

ホワイトウレタン埋込ライン

埋込ラインの断面