全天候舗装材は使用と共に表面が摩耗してバランスが崩れて参ります。陸上競技場走路の場合、特に使用が激しい1〜2コースに、この傾向が多く見られます。
これを解決するのがオーバーレイ工法で、摩耗した上部層を数o切削除去し、その部分に新しいウレタン材を補充して再生します。
通常の改修工事であれば上記の工法で用が足りますが、WA(国際陸上競技連盟)主催の競技会を開く競技場は厳しい「WA全天候舗装材の品質基準クラス1」に適合することが義務づけられており、安易な改修工法では、これに合格しなくなる恐れがあります。
「WA世界陸上2007大阪」を迎えた大阪市長居陸上競技場がこれに当たりました。
トラック舗装材は下部弾性層と上部層の2層構造で作られ、当競技場は建設後10年を経過したため、10年前の仕様による弾性層と現在仕様の上部層用材料の組み合わせでは、硬くなりすぎて「IAAF全天候舗装材の品質基準クラス1」に適合しないことが事前の調査で分かりました。
これを防ぐために柔らかい材料を使えば、検査には合格しても「柔らかくて走りにくい」走路となるため、厳しいWAの検査基準に合格しながら走りやすいトラックを構築する工法を開発しました。
この新工法は、新しく補充する材料による上部層と下部弾性層との間に新開発の「調整層」を設けた3層構造として、「WA品質基準」を満たしながら優れた衝撃吸収性と高反発性を獲得しています。
選手の皆様から「高速トラック」と呼ばれる長居の「トップエースCLトラック」は、走りやすさを追求した新オーバーレイ工法によって実現しました。 |